2028年度FIT入試はどう変わる?新制度の変更点と今からの準備

慶應義塾大学法学部は、2025年12月23日付の公式の変更通知(PDF)で、総合型選抜「FIT入試」を2028年度入試から見直すと発表しました。これまで別々に行われてきたA方式とB方式が統合され、「新FIT入試(仮称)」として1つの入試になります。
対象は2028年4月に入学する人からです。2026年度に高校2年生の人は、新しいFIT入試を受ける最初の学年になります。この記事では、大学が公表している内容だけをもとに、何が変わり、何がまだ決まっていないのか、そして今から何を準備すればよいのかを整理します。
この記事でわかること
- 2028年度FIT入試の4つの変更点(旧制度との比較表つき)
- 評定3.7以上・活動の証明など、出願要件の読み方
- 高1・高2のうちに始めたい準備と、募集要項で確認すること
目次
結論:A・B方式が1つになり、全員が同じ選考を受ける
発表された変更点は、大きく次の4つです。
- 方式の統合:A方式とB方式を1つの「新FIT入試」にまとめる
- 出願要件:調査書の全体の学習成績の状況(評定平均)が3.7以上で、外国語学習を含むさまざまな活動に積極的に取り組んだこと
- 第2次選考:模擬講義および論述試験、総合考査、口頭試問の3つで選考する
- 地域ブロックの廃止:B方式の地域ブロック枠はなくなる(南関東以外の成績優秀者への奨学金は継続予定)
統合の理由について大学は、両方式を併願する受験者が大きく増えたため、簡潔な制度にすると説明しています。また「書類・論述・面接を通じて、多面的・総合的に、人物本位で評価する」というFIT入試の趣旨は変わらないとされています。
POINT
方式を選ぶ必要がなくなる一方で、これまでA方式・B方式で別々だった試験を、全員が受けることになります。準備の範囲は広がると考えておきましょう。
まず確認:自分は新制度?それとも旧制度?
新旧どちらの制度で受けるかは、学年ではなく「何年の4月に入学するか」で決まります。2026年度時点の学年に当てはめると、次のとおりです。
| 入学する年 | 2026年度の学年の目安 | 受ける制度 |
|---|---|---|
| 2027年4月 | 高校3年生 | 現行のA方式・B方式(2027年度入試) |
| 2028年4月 | 高校2年生 | 新FIT入試(2028年度入試・最初の年) |
| 2029年4月 | 高校1年生 | 新FIT入試(各年度の募集要項で確認) |
浪人して受験する場合も、入学年度で判断します。インターネット上には旧制度の情報も多く残っているため、記事や体験談を読むときはどの年度の入試の話かを必ず確かめてください。
変更点①:出願要件は「評定3.7以上」と「活動」
新FIT入試の出願要件を、2027年度の募集要項(PDF)にある現行の2方式と比べると、次のようになります。
| 項目 | 現行A方式 | 現行B方式 | 新FIT入試 |
|---|---|---|---|
| 評定平均の条件 | なし | 指定5教科と全体がそれぞれ4.0以上 | 全体の学習成績の状況が3.7以上 |
| 活動・実績 | 優れた実績(外国語・文化芸術・リーダーシップ・ボランティアなどの例示) | 条件なし(評価書を提出) | 外国語学習を含むさまざまな活動への積極的な取り組み |
ここで大切なのは、3.7は合格ラインではなく、出願するための条件だという点です。3.7を超えていれば有利になる、という意味ではありません。また変更通知では「高等学校等の全期間の成績」が対象とされているため、高1の成績から評定に入ります。高3になってから上げるのは難しいので、今学期の定期試験から意識しておきましょう。
現行B方式にあった「指定5教科それぞれ4.0以上」のような教科ごとの条件が新制度にもあるかは、まだ公表されていません。

生徒
評定が3.7を少し超えていれば、安心していいんですか?

先生
3.7は「受験できるかどうか」の線です。合否は書類と第2次選考の内容で決まります。ただ、高1からの成績がすべて入るので、評定は早めに安定させておきたいですね。
変更点②:第1次選考は「活動を証明する書類」で審査
第1次選考は書類審査です。大学は、出願要件である活動についてそれを証明する書類を用いて選考すると説明しています。どんな書類を何点出すかは、まだ決まっていません。
今の段階でできるのは、活動の記録と証明を、その都度残しておくことです。検定試験の結果、大会やコンテストの記録、ボランティアの参加証明、探究活動の成果物などは、あとから集めようとすると手に入らないことがあります。
また「外国語学習を含む」と明記されているため、英語などの外国語学習は続けてきた過程ごと説明できるようにしておくと安心です。特定の資格やスコアが必須かどうかは公表されていないので、点数だけを追うより、なぜ・どう学んできたかを語れる状態を目指しましょう。
注意
活動は数や派手さより、「自分から取り組んだこと」と「そこから何を考えたか」が伝わるかが大切です。肩書きを増やすために活動を詰め込むと、書類の説得力はかえって下がります。
変更点③:第2次選考は3つの試験をすべて受ける
第2次選考の3つの試験は、いずれもA方式またはB方式で使われてきた方法を「基本的に踏襲する」とされています。現行の2027年度募集要項(PDF)での内容は、次のとおりです。
| 試験 | 現行で行っている方式 | 現行の内容(2027年度要項) |
|---|---|---|
| 模擬講義・論述試験 | A方式 | 教員の講義(50分)を聞いたあと論述(45分)。理解力・考察力・表現力を評価 |
| 総合考査 | B方式 | Ⅰ:資料の読み取りを400字程度/Ⅱ:テーマ小論文を400字程度 |
| 口頭試問 | A方式 | 複数の教員と1対1で、与えられたテーマについて質疑応答(約15分) |
新制度での試験時間や形式は、募集要項で必ず確認してください。そのうえで、それぞれ次のような力を伸ばしておくと、どの形式になっても対応しやすくなります。
模擬講義・論述試験:聞いた内容を整理して書く
講義を聞きながら要点をメモし、講義の主張・根拠・自分の考えを分けて書く練習が有効です。大学の公開講座や講義動画を使い、15分の内容を200字に要約するところから始めましょう。
総合考査:資料から言えることだけを書く
グラフや表、条文、判例などの資料を読み、資料から言えることと、言えないことを区別する力が問われます。新聞のグラフを1つ選んで、「読み取れる事実」と「自分の解釈」を分けて書く練習が役立ちます。
口頭試問:初めての問いにも、理由を添えて答える
現行の口頭試問は、口頭で与えられたテーマについて教員と質疑応答する形式で、2027年度からは開始前の自己紹介もなくなりました。家族や先生にニュースの話題で質問してもらい、結論→理由→具体例の順に答える練習を重ねましょう。
変更点④:地域ブロックはなくなり、奨学金は継続予定
現行B方式では、全国を7つの地域ブロックに分け、各ブロックから学科ごとに最大10名程度を合格者とする仕組みがありました。新FIT入試ではこの地域ブロックがなくなります。
一方で、南関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)以外の地域の成績優秀者に対する奨学金の支給は、継続する予定とされています。現行の制度は慶應義塾大学の奨学金の案内ページで確認できます。地方から受験する人は、新制度での条件も募集要項で確認しておきましょう。
まだ決まっていないこと:2027年6月上旬の募集要項で確認
新FIT入試の詳細は、2027年6月上旬頃に公開予定の募集要項で発表されます。公開されたら、慶應義塾大学の「法学部 FIT入試」のページに掲載されます。現時点で公表されていないのは、主に次の点です。
- 募集人員(現行は各学科A・B方式合計で最大80名)
- 出願期間・試験日などの日程
- 提出書類の種類と、活動を証明する書類の範囲
- 第2次選考の試験時間・形式
- 教科ごとの評定の条件の有無
- 法律学科と政治学科の併願の可否(現行は併願不可)
予想記事やうわさに振り回されず、公表された事実をもとに準備を進めることが、いちばんの近道です。
今から始める準備:4つのステップ
新制度の詳細を待つ間にも、確実に役立つ準備があります。高校2年生は今日から、高校1年生は自分のペースで次の順に進めましょう。
評定を安定させる
高1からの成績がすべて評定に入ります。定期試験ごとに目標を立て、苦手科目を放置しないことが最優先です。
活動の記録と証明を残す
活動のたびに、日付・内容・自分の役割・考えたことをメモし、証明書や成果物を保管します。
外国語学習を続ける
検定試験は早めに日程を確認し、受験の記録を残します。学んだ理由や使った経験も言葉にしておきましょう。
第2次選考の基礎を練習する
講義の要約、資料の読み取り、口頭での説明を、週に1回ずつでも続けると、試験形式が決まってから慌てずにすみます。

生徒
やることがはっきりしました。まずは次の定期試験と、活動の記録からですね!
2028年度FIT入試のよくある質問
評定が3.7に届かない場合、出願できますか?
公表されている内容では、全体の学習成績の状況が3.7以上であることが出願の要件です。現行B方式では高3の1学期(前期)までの成績が記載された調査書を使っており、新制度の対象期間は募集要項で示されます。残りの定期試験で上げられるかを、早めに学校の先生と相談しましょう。
英検などの資格は必須になりますか?
現時点で、特定の資格やスコアを必須とするとは発表されていません。出願要件は「外国語学習を含むさまざまな活動に積極的に取り組んだこと」です。資格は取り組みを証明する手段の1つと考えましょう。
A方式とB方式、どちらの対策をすればいいですか?
新FIT入試では方式を選ばず、全員が模擬講義・論述試験、総合考査、口頭試問を受けます。どちらか一方ではなく、両方式で行われてきた試験のすべてに備える必要があります。
法律学科と政治学科は併願できますか?
現行のFIT入試では併願できません。新制度での扱いは公表されていないため、2027年6月上旬頃に公開予定の募集要項で確認してください。
まとめ:変更点を、自分の準備に置き換えよう
この記事のまとめ
- 2028年度入試から、A方式・B方式が「新FIT入試」に統合される
- 出願要件は評定(全体)3.7以上と、外国語学習を含む活動への積極的な取り組み
- 第2次選考は模擬講義・論述試験、総合考査、口頭試問の3つ
- 地域ブロックは廃止、南関東以外の成績優秀者への奨学金は継続予定
- 詳細は2027年6月上旬頃の募集要項で確認する
新制度で大きく変わるのは、高1からの評定と、活動の積み重ねが早くから問われることです。何から始めればいいか迷ったら、FIT入試を突破した講師と、今の状況に合った準備の順番を一緒に整理してみてください。