慶應法学部の法律学科と政治学科はどう違う?志望テーマから考える選び方

慶應法学部の法律学科と政治学科の違い

「慶應の法学部に行きたい。でも、法律学科と政治学科のどちらにすればいいのか決められない」――FIT入試を考え始めた高校生から、よく聞く悩みです。

FIT入試では、出願の時点で学科を1つに決めます。2027年度入試までのFIT入試では、法律学科と政治学科を併願できません。だからこそ、なんとなくの印象ではなく、自分が考えたい問いに合うのはどちらの学科かを確かめてから選ぶことが大切です。

この記事では、慶應義塾大学法学部の公式サイトにあるカリキュラムや研究会(ゼミ)の情報をもとに、2つの学科の違いを整理します。そのうえで、学科の優劣ではなく、自分の問いと授業・研究領域を照らし合わせて選ぶための比較ワークを紹介します。

この記事でわかること

  • 法律学科と政治学科の教育内容の違い(公式情報から)
  • 法律学と政治学で、問いの立て方がどう違うか
  • 同じ社会課題を2つの学科の視点で比べる方法
  • 授業や研究会から、自分に合う学科を確かめる手順
目次
  1. 学科の教育内容を公式情報で確認する
    1. 法律学科:社会現象を法律的にとらえる力を育てる
    2. 政治学科:5つの系列から政治を複眼的にとらえる
  2. 法律学と政治学の問いの立て方
  3. 同じ社会課題を異なる視点で考える
    1. 学科選びの比較ワーク
  4. 授業と教員の研究との接点を調べる
    1. 研究会一覧から、自分の問いに近い領域を探す
  5. 志望理由にまとめる前の確認
  6. 法律学科と政治学科の選び方についてのよくある質問
  7. まとめ:学科は「考え続けたい問い」で選ぶ
  8. 出典・参考資料

学科の教育内容を公式情報で確認する

まずは、大学自身が2つの学科をどう説明しているかを確かめます。法律学科のカリキュラムと政治学科のカリキュラムのページから、主な違いを表にしました。

項目法律学科政治学科
育てる力リーガルマインド複眼的な視点
1年次の柱必修の「法学」5つの基礎科目
学びの流れ導入→基幹→展開基礎→系列科目
少人数の授業演習科目・研究会研究会・演習など
進路の支え法曹コース公務員試験の準備

法律学科:社会現象を法律的にとらえる力を育てる

法律学科が目標に掲げるのは、社会現象を法律的にとらえる能力、つまりリーガルマインドです。公式サイトでは、法律家を育てることだけを目指しているのではなく、司法・行政・ビジネスの現場や日常の生活で必要とされる力だと説明されています。

学び方は、はじめに憲法・民法・刑法で基礎を固め、基幹科目、展開科目へと興味に応じて専門性を深めていく流れです。必修科目は最低限におさえられ、自分で履修計画を組み立てる自由度が高いのも特徴です。1年次から3年次にかけては、少人数・双方向の演習科目も受けられます。

政治学科:5つの系列から政治を複眼的にとらえる

政治学科は政治学を、人と人とのつながりに関心を持ち、日本を含む世界の権力構造を解明するなかで「善き生」のあり方を探究する学問だと説明しています。授業は政治思想、政治理論、日本政治、地域研究・比較政治、国際政治の5系列にわたります。

1年次に5つの系列それぞれの基礎科目を学び、2年次以降は自分の研究領域の系列科目へ進みます。研究会では、論文の執筆や専門書の輪読、討論やディベートを通じて、自分の言葉で人を説得する力を養います。

「有利な学科」で選ばない

法律学科は学科の案内で「法律家を育てることだけを目指しているのではありません」と説明し、政治学科も3つのポリシーで、将来の政治家や公務員を育てることにとどまらないと書いています。資格や就職の有利・不利だけで学科を決めると、志望理由に自分の言葉が入りにくくなります。

法律学と政治学の問いの立て方

2つの学科の違いは、扱うテーマよりも「どんな問いを立てるか」に表れます。公式サイトの説明をもとに、問いの出発点を比べてみます。

  • 法律学の問い:決まりに照らすと、何が許され、誰がどんな責任を負うのか。その決まりは公正か。法律学科の案内では、法律学は「個別の問題に向き合い、人間社会のあるべき姿を描き出すための手段」と説明されています。
  • 政治学の問い:なぜその決定がされたのか。誰の意見が、どんな力関係の中で反映されたのか。政治学科の3つのポリシーでは、個別の行為や事象を社会全体との関連で考察することが教育目標に掲げられています。

まとめると、法律学はルールと個別の事例から、政治学は決定の過程と社会全体の構造から問題に近づく、という違いがあります。どちらも社会の問題を扱う点は同じです。

生徒:疑問のイラスト

生徒

法律の条文を覚えるのが苦手そうなら、政治学科のほうが向いていますか?

先生:説明のイラスト

先生

暗記が得意かどうかで決める必要はありません。法律学科の演習は、双方向のやりとりを通じて読解力や法的思考力を高める授業だと説明されています。大事なのは、自分が「どちらの問いをずっと考えていたいか」です。

同じ社会課題を異なる視点で考える

関心のある社会課題が1つあれば、そこから法律学の問いと政治学の問いを両方作れます。例を3つ挙げます。

社会課題法律学の問い政治学の問い
SNSの誹謗中傷表現の自由とどこで線を引くか規制のルールを誰がどう決めるか
外国人の受け入れ働く人の権利をどう守るか受け入れの方針はどう決まるか
気候変動環境を守る法の仕組みは十分か国どうしはどう協力できるか

同じテーマでも、問いが変われば読む本も、大学で取る授業も変わります。どちらの問いを考えているときに「もっと知りたい」と感じるかが、学科を選ぶいちばんの手がかりです。

学科選びの比較ワーク

紙を1枚用意して、次の順に書き出してみてください。30分ほどでできます。

社会課題を1つ書く

ニュースや授業、自分の活動の中で気になったことを1つ選びます。

問いを2つ作る

上の表にならって、法律学の問いと政治学の問いを1つずつ書きます。

答えの調べ方を考える

それぞれの問いに答えるには、何を読み、何を調べればよいかをメモします。

どちらを続けたいか選ぶ

4年間考え続けたいのはどちらの問いかを選び、理由を1文で書きます。

両方の問いに同じくらい惹かれる場合は、別の社会課題でもう一度試します。2つ、3つと続けると、自分の関心がどちらに傾いているかが見えてきます。

授業と教員の研究との接点を調べる

問いが決まったら、その問いを大学のどの授業や研究会で深められるかを調べます。法学部のアドミッション・ポリシーでは、FIT入試を、学生を「教えたい」教員と、法学部で「学びたい」学生の良好な相性(fit)を実現しようとする入試だと説明しています。教員の研究と自分の問いの接点を探すことは、この入試の考え方にも合っています。

公式サイトで、各学科の次のページを見てみましょう。

ページ法律学科政治学科
授業の紹介授業ピックアップ授業ピックアップ
科目の一覧設置科目設置科目
研究会研究会紹介研究会紹介
教員教員一覧教員一覧

研究会一覧から、自分の問いに近い領域を探す

研究会紹介のページには、分野ごとに研究会が並んでいます。2026年10月時点の一覧では、法律学科は公法、刑事法、民事法、商法、民事手続法、社会法、基礎法・外国法、政治学科は政治思想、政治・社会、日本政治、地域研究・比較政治、国際政治の分野に分かれています。先ほどの3つの社会課題に近い領域を探すと、次のようになります。

社会課題法律学科の研究会政治学科の研究会
SNSの誹謗中傷憲法政治コミュニケーション研究
外国人の受け入れ労働法、国際法移民/難民研究
気候変動環境法グローバル・ガバナンス

一覧を見ると、2つの学科の境目がきっちり分かれていないこともわかります。たとえば政治学科の研究会一覧にも憲法を専門とする研究会があり、法律学科には法哲学や法社会学の研究会があります。研究会の顔ぶれは年度によって変わるので、出願前に必ず最新のページで確かめてください。

調べるときは、先生の名前を覚えることが目的ではありません。授業ピックアップの紹介文や研究会のテーマを読み、自分の問いと重なる言葉を探してください。見つけた授業や研究会は、学科名と一緒にメモしておくと、志望理由書を書くときにそのまま使えます。

調べた内容は、出願書類や第2次選考で自分の言葉で話す材料になります。FIT入試の選考の流れを先に押さえておきたい人は、こちらで全体像をまとめています。

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志望理由にまとめる前の確認

学科が決まったら、FIT入試での学科の扱いも確かめておきます。2027年度の募集要項(PDF)では、同じ学科ならA方式とB方式の両方に出願できますが、法律学科と政治学科の併願はできません。また、A方式の口頭試問では、取り組んできた活動とあわせて志望する学科にふさわしい素養が質疑応答で確かめられます。

2028年度入試からの新FIT入試について、2025年12月23日付の変更通知(PDF)は、法律学科・政治学科を第1志望とする人物を選考する入試だと説明しています。学科の併願の扱いなど詳しい条件は、2027年6月上旬頃に公開予定の募集要項で確かめてください。

新FIT入試で何が変わり、何がまだ決まっていないのかは、こちらで旧制度と比べて整理しています。

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志望理由書を書き始める前に、次の項目を確かめてみてください。

志望学科を決める前の確認

  • 自分の問いを1文で言える
    社会課題と、そこから立てた問いがセットになっています。
  • 問いと学科の学びがつながっている
    リーガルマインドや5系列など、学科の説明の言葉と結びつけて説明できます。
  • 関係する授業や研究会を2つ以上挙げられる
    公式サイトで実際に見つけたものを、学科名と一緒に書けます。
  • もう一方の学科ではない理由を言える
    「なぜこの学科なのか」と聞かれても答えられます。
  • 資格や就職の有利・不利だけで選んでいない
    進路の話は、学びたいことの先にあるものとして書きます。

法律学科と政治学科の選び方についてのよくある質問

法律学科のほうが、資格や就職で有利ですか?

公式サイトでは、どちらかの学科が有利だとは説明されていません。法律学科には法曹を目指す人のための法曹コースがあり、政治学科の案内には、政治学や行政学、憲法などの科目を通じて国家公務員試験等の準備ができると書かれています。進路は、学科だけでなく大学での学び方で変わります。

法律と政治の両方に興味があります。どう決めればいいですか?

この記事の比較ワークを、社会課題を変えて2〜3回試してみてください。どちらの問いを長く考えていたいかで判断するのがおすすめです。どちらの学科でも、もう一方の分野に近い授業や研究会があります。

FIT入試で、法律学科と政治学科の両方に出願できますか?

2027年度入試までのFIT入試では、法律学科と政治学科の併願はできません。2028年度入試からの新FIT入試での扱いは公表されていないため、2027年6月上旬頃に公開予定の募集要項で確かめてください。

志望理由書に、学科の違いをどこまで書けばいいですか?

2つの学科の比較を長く書く必要はありません。自分の問い、その問いを深められる授業や研究会、入学後に学びたいことの順に書くと、なぜその学科なのかが自然に伝わります。

まとめ:学科は「考え続けたい問い」で選ぶ

この記事のまとめ

  • 法律学科はリーガルマインド、政治学科は5系列の複眼的な視点を育てる
  • 法律学はルールと個別の事例から、政治学は決定の過程と社会の構造から問題に近づく
  • 同じ社会課題から2つの問いを作り、どちらを考え続けたいかで選ぶ
  • 公式サイトの授業や研究会で、自分の問いとの接点を確かめる
  • 2027年度入試までは法律学科と政治学科を併願できない。新制度の扱いは募集要項で確かめる

まずは気になる社会課題を1つ選び、比較ワークの1枚を書いてみてください。書いた問いをどう志望理由につなげればいいか迷ったら、FITAの無料相談で、FIT入試を突破した講師と一緒に整理できます。公式LINEでは、資料のお申し込みも受け付けています。

出典・参考資料

この記事を書いた人

慶應FIT専門塾 FITA

FITA編集局

慶應義塾大学法学部のFIT入試に特化した専門塾 FITAの編集チームです。募集要項など大学の公式資料をもとに、FIT入試を突破した講師の知見を交えて、出願書類や二次試験の対策、併願の考え方まで、受験生と保護者の方に役立つ情報をお届けしています。

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