慶應法学部のFIT入試とは?選考の流れと対策の全体像

FIT入試は、慶應義塾大学法学部(法律学科・政治学科)が行っている総合型選抜です。学科試験は課さず、書類と面接・論述などを通じて、「慶應の法学部で学びたい」学生と「この学生を教えたい」教員の相性を見る入試として、2006年度に始まりました。
対象年度
この記事は2027年度入試(2027年4月入学)の募集要項(PDF)をもとに、現行のA方式・B方式を説明します。2028年度入試からはA・B方式が統合されるため、現在の高1・高2の人は、変更点をまとめた2028年度FIT入試の変更点の記事もあわせて読んでください。
この記事でわかること
- FIT入試の目的と、大学が求めている学生像
- 出願から最終合格までの流れとスケジュール
- 提出書類と第2次選考で準備すること
- 自分に必要な対策を見つける順番
目次
FIT入試の目的と求める学生像
FITという名前には2つの意味があります。1つは、学生と教員の良好な相性(fit)。もう1つは、Flexible and Intelligent Thinking(柔軟で知的な思考)の頭文字です。
募集要項では、FIT入試は主体性・社会性・想像力・コミュニケーション能力など「社会で活躍し、発信する能力」を評価すると説明されています。一方で、いわゆる「一芸入試」ではないとも明記されています。合格できるのは、高い学力に裏打ちされ、法律学・政治学を学ぶのにふさわしい素養があると教員が判断した学生です。
つまり、すごい実績が1つあれば受かる入試ではありません。次の3つがそろっているかが見られます。
- 学ぶ理由:なぜ慶應の法学部で、法律学・政治学を学びたいのか
- 積み重ね:学業を含め、これまで何に主体的に取り組んできたか
- 考える力:初めて聞く話や資料を理解し、自分の言葉で論じられるか
また、出願資格には第一志望で、合格したら入学を確約できることが含まれます。他大学の総合型選抜と併願する場合は、各大学の条件をよく確認しましょう。
A方式とB方式の違い
2027年度入試までは、性格の異なる2つの方式があります。同じ学科ならA方式とB方式の両方に出願できますが、法律学科と政治学科の併願はできません。募集人員は、各学科でA・B方式あわせて最大80名です。
| A方式 | B方式 | |
|---|---|---|
| 条件 | 学業を含む活動で優れた実績をあげたこと(外国語・文化芸術・リーダーシップ・ボランティアなどを例示) | 指定5教科と全体の評定がそれぞれ4.0以上 |
| 書類 | 自己推薦書 | 高校の先生による評価書 |
| 二次 | 模擬講義・論述試験と口頭試問 | 総合考査Ⅰ・Ⅱと面接 |
| 特徴 | 実績と思考力を重視 | 全国7つの地域ブロックごとに合格者を選ぶ |
出願から合格までの流れ
FIT入試は、書類審査の第1次選考と、試験会場で行う第2次選考の2段階です。2027年度入試の日程は次のとおりです。
出願登録・書類の郵送(2026年8月3日〜9月3日)
インターネットで出願登録をし、書類は9月1日〜3日に簡易書留速達で郵送します(3日の消印有効)。
第1次選考の合格発表(9月15日)
提出書類を総合的に審査し、第2次選考に進む人が発表されます。
第2次選考(A方式9月19日・B方式9月20日)
三田キャンパスで、方式ごとの試験を受けます。
最終合格発表(11月2日)
第2次選考の結果に、第1次選考の評価もあわせて合否が決まります。
入学手続(11月27日〜12月11日)
合格したら、期間内に入学手続を行います。
2027年度入試の出願資格・日程・選考内容を一覧で確認したい人は、こちらの記事にまとめています。
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見落としやすいのは、出願書類の準備は夏休み前から始まるということです。調査書は2026年6月1日以降に作成されたものが必要で、志望理由書は手書きです。8月に入ってから慌てないよう、高3の1学期には下書きを固めておきましょう。
選考の厳しさの目安として、2026年度の選考結果(PDF)では、法律学科A方式の出願者306名に対し、第1次合格者94名、最終合格者53名でした(B方式は197名→118名→46名)。第1次選考で書類によって大きく絞られることがわかります。

生徒
書類で3分の1くらいまで絞られるんですね。書類ってそんなに大事なんですか?

先生
A方式はそうですね。しかも最終合否には第1次の評価も加わります。書類は「通過するため」だけでなく、最後まで効く材料だと考えてください。
書類と第2次選考で準備すること
出願書類
| 書類 | A | B | 準備のポイント |
|---|---|---|---|
| 志望理由書 | ○ | ○ | 800字以内・手書き。法学部で学びたい理由と、それが将来にどうつながるか |
| 志願者調書 | ○ | ○ | 所定の様式に必要事項をもれなく記入 |
| 自己推薦書 | ○ | — | 最も顕著な活動と成果、法学部での学びを経てどう社会に貢献できるか |
| 評価書 | — | ○ | 在籍・出身校の先生に依頼する |
| 調査書等 | ○ | ○ | 高校の成績(B方式は評定4.0以上が条件) |
どの書類でも、「何をしたか」より「なぜ取り組み、何を考えたか」が伝わるかが大切です。活動の証明書や表彰状がある場合は、A方式では自己推薦書の別添資料として提出できます。
第2次選考
| 方式 | 試験 | 内容 |
|---|---|---|
| A方式 | 模擬講義・論述試験 | 教員の講義(50分)を聞き、論述(45分) |
| A方式 | 口頭試問 | 複数の教員と1対1の質疑応答(約15分)。開始前の自己紹介はなし |
| B方式 | 総合考査Ⅰ・Ⅱ | 各45分・400字程度。資料の読み取りとテーマ小論文 |
| B方式 | 面接 | 約10分 |
A方式の口頭試問では、取り組んできた活動のアピールとあわせて、志望する学科にふさわしい素養が質疑応答で確かめられます。どちらの方式も、知識の暗記より、その場で読み・聞き・考えて表現する力が問われる試験です。
「志望する学科にふさわしい素養」と言われても、法律学科と政治学科のどちらが自分に合うのか迷う人もいるはずです。2つの学科の違いと、自分の問いから学科を選ぶ方法は、こちらで整理しています。
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2028年度の変更点
慶應義塾大学は2025年12月23日付の変更通知(PDF)で、2028年度入試からA方式とB方式を統合し、「新FIT入試(仮称)」として実施すると公表しました。主な変更は次の4つです。
- 出願要件は、全体の評定3.7以上と、外国語学習を含むさまざまな活動への積極的な取り組み
- 第1次選考は、活動を証明する書類を用いて審査
- 第2次選考は、模擬講義・論述試験、総合考査、口頭試問の3つ
- B方式の地域ブロックは廃止(南関東以外の成績優秀者への奨学金は継続予定)
人物本位で多面的に評価するという趣旨は変わりません。現行制度との詳しい比較と、今からの準備の進め方は、次の記事で解説しています。
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自分に必要な対策の探し方
FIT入試の準備は、人によって優先順位が大きく違います。次の順で自分の状況を確かめると、やるべきことが見えてきます。
受ける年度と方式を確かめる
2027年度入試ならA方式・B方式のどちらか(または両方)、2028年度以降なら新FIT入試です。
出願要件を満たせるか確かめる
B方式・新FIT入試は評定の条件があります。今の評定と、残りの定期試験を確認しましょう。
書類の材料を棚卸しする
活動・資格・探究などを書き出し、「なぜ法学部か」につながる経験を探します。
第2次選考の力を測る
講義の要約、資料の読み取り、口頭での受け答えを一度試し、どこが弱いかを知ります。

先生
評定が足りているか、書類の材料があるか、書く力・話す力はどうか。この3つのどこで止まっているかで、最初にやることは変わります。

生徒
まずは自分がどこで止まっているか、確かめるところからですね。
FIT入試のよくある質問
FIT入試に学科試験はありますか?
ありません。第1次選考は書類審査、第2次選考はA方式が模擬講義・論述試験と口頭試問、B方式が総合考査と面接です。ただし募集要項では、高い学力に裏打ちされていることが前提とされています。
A方式とB方式は両方受けられますか?
2027年度入試では、同じ学科であれば両方式に出願できます。法律学科と政治学科を併願することはできません。2028年度からは方式が統合されます。
浪人生でも出願できますか?
2027年度入試の出願資格では、A方式・B方式とも、高校を卒業した人も対象に含まれています。細かな条件は募集要項で確認してください。
まとめ:制度を知ったら、準備の優先順位を決めよう
この記事のまとめ
- FIT入試は、学科試験を課さない慶應法学部の総合型選抜(2006年度開始)
- 一芸ではなく、学ぶ理由・積み重ね・考える力がそろった学生を求めている
- 書類審査の第1次選考と、試験会場での第2次選考の2段階
- 2027年度入試まではA方式・B方式、2028年度からは新FIT入試に統合
- 書類は最終合否にも効くので、高3の1学期には準備を固める
制度の全体像がつかめたら、次は自分にとって何を先にやるべきかを決める番です。FITAの無料相談では、FIT入試を突破した講師が、今の評定や活動をもとに準備の優先順位を一緒に整理します。